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2019-04-26
脳梗塞画像におけるCT・MRIの種類と利点・欠点について
◆ 用語のおさらい
CT:computed tomography MRI:magnetic resonance imaging T1W1:T1 weighted image T2W1:T2 weighted image FLAIR:fluid-attenuated inversion recovery DWI:diffusion weighted image MRA:magnetic resonance angiography ◆ CTとMRIの呼び方の違い
意外と知らない方も多いと思いますが、CTとMRIでは白い部分と黒い部分の呼び方は違うのです。
CT画像では白い部分を高吸収域、黒い部分を低吸収域と呼びます。 MRI画像では白い部分を高信号域、黒い部分を低信号域と呼びます。
細かいことですが、医師やその他のスタッフとコミュニケーションをとるのに覚えておいて損はないと思います。 ◆ CT画像の利点・欠点
CT画像は脳脊髄液と梗塞部位が低吸収域(黒)になる画像のことです。
CT画像では出血部位の把握には優れていますが、梗塞部位の把握には劣ります。 ◆ T1強調画像(T1W1)の利点・欠点
T1W1は脳脊髄液と梗塞部位が低信号域(黒)になる画像のことなので、CT画像と似た見た目になります。
しかし、CT画像と比べると解像度が非常に高くて脳回や脳溝の形を把握しやすいのが特徴です。
一方で梗塞部位が目立ちにくいといった欠点があります。 ◆ T2強調画像(T2W1)の利点・欠点
T2W1はCT画像やT1W1に反して脳脊髄液や梗塞部位が高信号域(白)になる画像のことです。
これに加えて脳実質はCT画像やT1W1に比べてさらに強く低信号域(黒)を示します。
T2W1は梗塞部位が高信号域(白)になり、しかも脳実質は低信号域(黒)になるので、脳実質部に梗塞を認めるとはっきりとわかります。
しかし、T2W1は脳脊髄液も高信号域(白)になるので、脳脊髄液付近に梗塞を認めると梗塞部位との鑑別が難しくなります。 ◆ FLAIR画像(水抑制画像)の利点・欠点 FLAIR画像は脳脊髄液が低信号域(黒)になりますが、梗塞部位は高信号域(白)になる画像のことです。
つまり、脳脊髄液付近の梗塞部位も鑑別が可能になるので、T2W1の欠点を補った撮像法になります。
また、陳旧性の梗塞部位は低信号域(黒)になるので、新旧の鑑別にも有利です。しかし、発症後6時間以内のいわゆる超急性期の梗塞部位検出は難しい欠点があります。
注)脳室周囲や脳表など脳脊髄液に接した病変の検出においてT2強調画像よりも明らかに優れており、頭部MRIにおいては多くの施設でルーチンになっている撮像法である。 土屋一洋『改訂版 MRIデータブック』 ◆ DWIの利点・欠点
今まで述べてきましたCT画像、T1W1、T2W1、FLAIR画像は発症後6時間以内の検出は困難であるとされていました。
しかし、DWIは発症後1時間から脳梗塞を検出できるのです。つまり、DWIは超急性期における脳梗塞をいち早く検出できる撮像法になります。
また陳旧性の梗塞部位は低信号域(黒)になり、目立たなくなりますのでFLAIR画像と同じく新旧の鑑別にも有利です。
しかし、DWIは解像度が低いので詳細な梗塞部位を把握する場合にはその他のMRI検査を併用します。 ◆ MRA
MRA とは MRI を用いて血管の描出を行う方法のことです。
低信号か高信号は血流の速さによって決定されますので、血流速度が早い主幹動脈は高信号にはっきりと描出されます。
一方で穿通枝などの細い血管は描出されにくいので、主に主幹動脈の病変評価に使われます。 注)主幹動脈とは脳に酸素や栄養を送っている複数の太い血管の総称のこと。主幹動脈には内頸動脈(ICA)、前大脳動脈(ACA)、中大脳動脈(MCA)、後大脳動脈(PCA)、椎骨動脈(VA)、脳底動脈(BA)が含まれる。穿通枝動脈とは上記の主幹動脈から分岐した細い血管の総称のこと。 ◆ 各撮像法による梗塞部位の見え方
*マークのついているところが病変部位です。
単純CT画像の病変部位は低吸収域を示しています。T2W1の病変部位は淡い高信号域を示しています。FLAIR画像では脳脊髄液が低信号域、病変部位は高信号域を示しています。
T2W1に比べてFLAIR画像のほうが明瞭にみえているのが分かります。 ◆ 今日のリハゴリ俱楽部 CT画像、T1W1は梗塞部位の把握には劣る。 T2W1の脳脊髄液は高信号域、FLAIR画像は低信号域なので、脳脊髄液付近の梗塞部位を捉えるのにはFLAIR画像が適している。 DWIは超急性期(発症1時間後から)の梗塞病変を捉えることができる。
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